オラの頭の近くを蜂が飛んでいった。
が、いつもの羽音とは違う感じだ。
羽音が途中で消えたのだ。
普通は羽音はだんだん小さくなっていくのに、今のは急に羽音が消えたのだ。
もしかしてオラの頭の近くに止まったのかもしれないし、オラの体に止まったのかもしれない。
オラは小学生の時に蜂の巣をつついて逆襲にあったことがあるのだ。
顔を刺されてお多福みたいになったことがあるのだ。
あのときは小学生だったからまだ良かったものの社会人になってお多福のような顔では会社にも行けない。
かっこ悪い。悪すぎる。
そんな思い出があるもんだから、蜂に対しては異常なほどに気を遣ってしまうのだ。
恐る恐る服やズボンを見ても、蜂はいなかった。
どこに行ってしまったんだろうか?
あの羽音では飛び去っていないと思うのだが・・・・・。
辺りを見回すと・・・・・・・・、いたっ!!!
片足で屋根にぶら下がっていた。
少し時間がったたら
じっと見ていると、何か虫を捕まえたらしい。
ガリッ、バキッという音とともに根や足が落ちてきた。
よく見るとそれは蜂の足のようだ。
蜂が蜂を捕まえるのだろうか???
確かにぶら下がっている蜂はスズメバチではないが大型の蜂だ。
何で蜂が蜂を捕まえるんだろうか?
よくは分からないけれど、魚だって魚を食べるし、鳥だって鳥を食べるし、動物だって動物を食べるし、って考えるとそんなに不思議ではないような気もしてくる。
今は子育ての時期なんだろうか。
虫を捕って肉団子にしてサナギに与えているのだろうか。
それにしても、虫をかみ砕く音があんな音がするとは思いませんでした。
ガリッ、バキッっていう音とともにひらひらと落ちてきた羽根が惨めでした。